無職の俺がカブトムシを捕まえようとして一晩中神社の木に挟まってた話をする

俺は無職で毎日のように母に働けゴミ虫と呼ばれる
学生時代はこんな事言われなかったのに卒業して常に家に居るようになってから母の性格は変わってしまった

昔の母の笑顔をもう一度見たい！
そう思った俺はカブトムシを捕まえようと決意した

決意してからは早かった
家の倉庫の奥から虫取り網と虫かごをとり服を着替え家をでた

俺は家から300メートル先にある神社に来た
まだ少年だった時はここでよくカブトムシやクワガタを捕まえてた

少年の頃は大きかった木も大人になった俺には小さく見えた
時の流れは残酷だと思った

その木の根本付近にお目当てのカブトムシがいた俺は虫取り網を勢いよく振った
カブトムシは簡単に捕まえられた
これで母の顔に笑顔が戻る！

だが一匹で良いのか？
俺はいっぱい捕まえようと決意した

途中で虫取り網が折れてしまったが少年時代の心を取り戻した俺に網なんて必要ない
一心不乱に素手で虫を取り続けた
カブトムシやコクワガタ色んな虫を捕まえた

この位で良いかな？
そう思った矢先　彼はいた

ノコギリクワガタだ！

例の木の上にいた
少し登れば捕まえられるハズだ
俺は木に登り始めた

この行為が自分の身を滅ぼすとも知らずに

俺は慎重に登った３メートル位登った所で悲劇は起きた
そう左足が滑ったのだ
バランスを崩した俺は１メートル程落ちた

だがただ普通に落ちた訳じゃない
木の枝分かれした部分に体を横向きにしたように綺麗に落ちて挟まったのだ

本来パニックを起こさず冷静に対処すればこんな所からは降りれたハズなんだが
俺はパニックを起こしてもがいたするとどうだろう
俺の左の横腹はどんどん木に食い込んでいく
まるで木と同化するかのように

完全に挟まった俺にはどうすることも出来ない
そうだ電話で消防にレスキューしてもらおう！
俺は携帯電話を取り出そうとしたが無かった
どうやら落ちた時にポケットから出てしまったのだろう

俺は叫んだ
「た、たたた助けてッ！誰か助けてッ…」
長年無職で周りとコミュニケーションをとらなかった俺に声なんて出せなかった

俺は絶望した

ただ母を喜ばそうとしただけなのに神はなんて残酷なんだ
神は俺から奪えるだけのもの奪ってさらに命まで奪うのか

お前は死神だ
許せない
許せない

俺は木に挟まった状態で涙を流した
この世は残酷だ

そこからは長く恐怖だった
近くに灯りがあるせいで蛾やよくわからない虫が突進してくる

蚊に刺される耳元ほ飛ぶ
俺の肉体と精神を蝕んでくる死神の送った使者たち

俺はふと少年時代を思いだした

俺は家で亀を飼っていた
名前はチーター
チーターはある日水槽を掃除していた時バケ○から脱走しようと失敗をして逆さまになった

当時の俺はもがいているチーターを見て笑っていた
馬鹿な亀だ自分で起き上がる事も出来ない

７年後チーターは死んだ
脱走しようとした時の事故がストレスとなって死んだか分からないが
今の俺は当時のチーターと同じことになっている
チーターは絶望していたんだ

俺はなんて残酷な人間なんだ
もし木に挟まったまま死んだらあの世でチーターに謝ろう

俺は全てを諦め死ぬ決意をした
諦めて緊張感が無くなったのだろう俺は寝てしまった

だれかの呼ぶ声がする
俺は目を覚ました

木の下から子供の声がした
時間は分からないがきっと朝なんだろう

子供「おっちゃん何してんの？」
俺は全てを少年に話し
そして大人を呼んでもらった

数人の大人が集まり俺を救助した
周りの大人たちは今までこんなバカなヤツは見たことないって言ってた

そうだろう俺もあんな挟まりかたは初めてだし
あんな挟まりかたした人間を見たらきっと笑うだろ

木からおろされた俺は少年にお礼としてカブトムシをあげた
そして俺は家に帰る事にした

数多の死線を乗り越えた俺は凄く成長したみたいだ

笑顔で玄関の扉を開いた
ただいま

俺は母の元にかけより
カブトムシを見せた

母は悲鳴をあげ
虫かごを手で払いのけ
俺にビンタした

このろくでもないゴミ虫！！！

やはりこの世界は残酷だった

〜END〜

これで事件の経緯は終わりだけど
これだけは言っておきたい
いい年した運動不足のおっさんは木に登っちゃいけない

ちなみに俺は今部屋で泣きながらこれを書いている
俺はただ母の笑顔が見たかっただけなのに
もう一生母の笑顔を見ることは無いのだろうか

>>66
実話だ
昨日の夜から今朝にかけてだ

お前ら母を悲しませるなよ

じゃあな